こんにちは!こめこです!
皆さんは少年鑑別所という場所を知っていますか?
今回は、少年鑑別所の役割やそこで行われていることについてお話していきたいと思います。そして、以前大学院の実習の一環で見学に行った際に、少年達について考えたことについてもお話していきたいと思います。
※今回の記事は私が見学をした鑑別所の職員の方の話を基に作成しています。鑑別所や、職員の価値観によって制度や考えが異なることにご留意ください
少年鑑別所とは
鑑別所とは
①家庭裁判所の求めに応じ、鑑別対象者の鑑別を行うこと
②観護の措置が執られて少年鑑別所に収容される者等に対し、健全な育成のための支援を含む観護処遇を行うこと
③地域社会における非行及び犯罪の防止に関する援助を行うことを業務とする法務省所管の施設
と定められています。
引用:法務省
①は、少年(女性も含めて少年と呼んでいます)がどのような特性を持っているのか・少年の家族関係、生活環境はどのような感じだったのかといったことを調べます。質問紙の心理査定(アンケート回答ような検査)をすることもあれば、周囲の人から話を聞いて情報収集を行うこともあります。
②は、少年が施設に収容されてからの支援のことです。少年鑑別所への収容が決まると、2~4週間ほど施設で生活を行います。場合によってはもう少し長くなったりします。施設収容が決まった少年に対して規則正しい生活を送ってもらうための支援が②になります。
③は、一般市民に向けて行われているものです。子どもの行動に不安を抱えている親御さんや本人の方が施設に来て、話をするというカウンセリングに似たような支援が行われています。
また、学校に出向いて講演会を行なうこともあります。
少年鑑別所と少年院は混同されがちですが、鑑別所は少年らが少年院への入所が必要かどうか見定めるという役割を持っています。
施設概要
私が見学した鑑別所は、入口が1つのみで、施設に話をするために訪れる一般の方もこれから収容される少年も同一の入口から入るようになっていました。
入口からは実際に少年たちが収容されるであろう建物に繋がるための扉がありました。その扉は脱走防止のために厳重な管理がしてありました。鉄でできており、二重扉になっていました。一般の方が見たら少しびっくりしてしまいそうな見た目でした。
少年の生活
ここからは、私が実際鑑別所見学をした際に職員の方に教えてもらった話を基に少年たちの生活についてお伝えします。
少年たちは1人1部屋が与えられ、基本的にはその部屋で生活を送るそうです。施設には大部屋もあり、複数の少年が1つの部屋で共同生活をすることも可能ですがほとんどの場合個室が与えられます。
個室が与えられる理由としては、1人でじっくり内省する時間を与えるためと仰られていました。
日々の生活で行うこと
読書
図書室のような場所で本を借りることができます。本はその場で読んでもいいですし、自分の部屋に持って帰って読むこともできます。本の種類は、マンガや小説などもありますが、勉強に関する本(参考書やドリルなど)があったのが印象的でした。
また、図書室にぬいぐるみが置いてあり、ぬいぐるみの貸し出しを行っているそうです。慣れない環境でなかなか寝付けず、寂しいという思いをしている少年がぬいぐるみを借りて行くことがあるそうです。
運動
天気がいい日は施設の外のグラウンドで運動をするそうです。基本的に自分の好きな運動ができるようです。グラウンドは壁で覆われており、外からは見えないようになっていました。
しかし、上から見るとグラウンドの中が見えるようになっているため、住宅やビルの上の方の階からでしたら中の様子を確認できてしまいます。そのため場所によっては帽子を被って運動することもあるそうです。
職員の方との面談
少年が起こした事件に対しての話し合いが頻繁に行われるそうです。その中で、少年が自分が犯した事件に対してどのような思いがあるのかということについて話し合います。
また、事件のことだけではなく、今までどのような生活を送ってきたのか(生活環境や、家族との関係など)ということについても話し合いが行われるそうです。
面会
鑑別所に面会に来れるのは限られた人(主に家族)だけで、面会時間もそれほど長くはありません。面会室も見せてもらいましたが、ドラマで見るようなアクリル板で仕切られた様な部屋ではなく、応接室の様な部屋でした。
日記の記載
鑑別所に入った少年は毎日日記を書くそうです。今日あった出来事や、鑑別所に入って感じたことについてなどさまざまなことが書かれるそうです。日記は鑑別所職員の方が毎日確認し、コメントを記入するそうです。少年の気持ちについて知るだけでなく、他者との交流の機会として日記が用いられることもあるそうです。
少年同士の交流
基本的に少年同士の交流はないようです。少年達がすれ違う時も1人が壁を向いて顔を見合わないようにしているそうです。必要以上に交流をさせると、アイコンタクト等で合図を送り合う可能性や、共謀して再び事件を起こす計画を企てる可能性があるからだそうです。
ですが、職員の方が同年代の人とコミュニケーションをとる必要があると判断した場合は、運動の時間などに少年らで交流する機会もあるそうです。
少年の声を届ける配慮
鑑別所での生活で「もっとこうして欲しい」といった少年の要望を届ける取り組みが行われているようです。鑑別所内に設置されている鍵付きの箱の中に手紙を入れ、それを鑑別所の外の施設に持っていき、鑑別所の職員ではない人が確認するそうです。
この箱は鑑別所の職員も開けられないようになっており、少年がどんな内容を書いたのか分からないようになっています。少年が誰かに手紙を出す場合や、手紙を受け取る際には基本的に職員の人が内容をチェックします。ですが、鍵付きの箱に入れる用紙に関しては誰も確認しないそうです。
この制度は、職員が一方的に権力を振りかざすという環境を作りにくくする役割も果たしているのではないでしょうか。
見学して学んだこと
ここからは、鑑別所の見学を通して学んだこと・感じたことについてお話したいと思います
規則正しい生活をしている少年は少ない
職員の方によると、規則正しい生活をしている少年は少なく、昼夜逆転の生活をしているそうです。また、栄養バランスのとれた朝食を食べる機会がほとんどないそうです。そういった少年たちにとって決められた時間に起床し毎日ご飯を食べる機会が与えられることは社会復帰した際に、規則正しい生活をするための基盤になるのではないでしょうか。
自分の問題に取り組むのには多くのエネルギーがいるため、自分の問題に取り組めるようになるために、まずは体の調子を整えてもらおうとしているのではないでしょうか。
日常生活で大人に関心を寄せられた経験が少ない
鑑別所に来る前には全く勉強していなかったけれども、鑑別所に来てから「ここなら勉強教えてもらえそうだし、勉強やってもいいかも」と興味を持ち始める少年がいるということを教えていただきました。この話を聞いて、彼らは日常生活で他人から関心を寄せられた経験が少ないのではないかと思いました。
勉強も規則正しい生活も、言ってしまえばできて当然のことで、それらをしたからといって褒められるほどのことではありません。ですが、少年たちにとって勉強や規則正しい生活は人より頑張らないとできないことなのかもしれません。
そういった、比較的当たり前だと思われていることに対しても関心を寄せてくれる鑑別所という施設に入所することによって、人から関心を寄せられる・褒められるといった経験をすることができるのではないかと感じました。
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございます!
少年鑑別所は普段の生活ではあまり関わりがありません。ですので、そこに収容されている人は極悪人だと想像力が膨らみすぎることもあるかもしれません。
ですが、実際話を聞くと、収容される少年はほとんど私たちと変わらないといったことが分かりました。少年たちが生活する個室も監獄というよりも、寮の部屋といった雰囲気があったり、本を借りれる部屋も図書館のような雰囲気がありました。
彼らがしてしまったことは褒められたことではありませんが、鑑別所に入って内省したり、被害者の方の気持ちに思いを馳せる経験をすることで、同じ過ちを犯さないでもらえればと思います。
それでは!
またね~
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